10章 第2転回形
第2転回形......第5音が最低音となっている3和音
4度は下の音がバスにあると不協和音程となるので、第2転回形は不安定な和音である。
非和声音の集合として使うのが典型的である。
終止の第2転回形......カデンツにおいて、属和音Ⅴに先行する主和音Ⅰの第5転回形
バス上の6度と4度が属和音の第5音と第3音への倚音を形成する。
トニックとドミナントの性質を同時に持ち、解決を要するが、和声的に強い和音である。
この和音に先行することが多いのは、Ⅳ、Ⅱ、Ⅵ、Ⅰなど。Ⅴはあまり適さない。
補助的な第2転回形......3和音の第3第5音が2度上行してまたもとに戻る時、形成される和音
隣音のように使われ、終止の第2転回形と違いリズム的に弱い。
経過的な第2転回形......ある和音の根音位置と第1転回形をつなぐ経過的な和音
バスが3度離れた2音をつなぐ経過音となる。
前後の和音との関係でリズム的に強くなる場合も多い。
分散型の第2転回形......バスの第5音が対位法的に重要でなく、単に分散和音の1音に過ぎない場合
主和音のバスが根音と第5音の交代を繰り返すという用法が多く見られる。